2018 年 32 巻 4 号 p. 751-754
「日本における胆石の新しい分類」は1986年に日本消化器病学会が刊行した胆石の肉眼的分類法である.幾つかの問題点は指摘されたが,わが国における胆石の種類の標準的分類法として広く普及してきた.最近,赤外線吸収スペクトル分析(IR分析)で追試した結果が報告され,「この肉眼的分類法には齟齬が多く,とくに黒色石ではこの分類法は無効であり,IR分析によって黒色色素を確定する必要がある」との論文発表があった.しかし我々は「日本における胆石の新しい分類」法に携ったものとして,胆石の分類の原則は,まず肉眼分類であり,本分類法の基本方針に沿って分類がなされるべきであり,IR分析法は,限界を理解して解釈する必要が有ることを強く主張したい.胆石の分類については,最近取り上げられることが少ないため,若手を含め日本胆道学会会員に再度確認・周知するものである.