人文地理学会大会 研究発表要旨
2011年 人文地理学会大会
セッションID: 211
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第2会場
高岡市山町筋における歴史的町並みの変容
*山口 太郎
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抄録

本発表では,富山県高岡市山町筋地区における重伝建地区選定後の歴史的町並みの空間変容について,とくに伝建地区制度の修理・修景事業の運用による効果を中心に報告する.
具体的には,重伝建地区選定時の2000年以降における建造物の修理・修景について,高岡市教育委員会が発行している『高岡市山町筋重要伝統的建造物群保存地区 町並み保存の記録』第1巻(2002年発行)から第8巻(2009年発行)を用いて確認し,現地調査の結果を加えて分析を行う.
現地調査では,山町筋における建造物の伝統的な特徴(構成要素)として,1間ほどの下屋,防火壁,鋳物支柱,1階格子戸・窓,漆喰(白・黒),2階観音開き戸,箱棟を抽出し,分析を行った.
なお,調査対象とした建造物は,山町筋伝建地区のなかでもメインストリートといえる旧北陸道沿いを中心とした107軒である.
2011年8月に行った現地調査において,調査対象建造物のうち,伝統的建造物は48軒(44.9%)である.1間ほどの下屋をもつ建造物は28軒,以下,防火壁は32軒,鋳物支柱は29軒,1階格子戸・窓は27軒,白漆喰は22軒,黒漆喰は16軒,2階観音開き戸は6軒,箱棟は18軒である.
修理は28軒であり,伝統的建造物全体の58.3%を占める.修景は3軒であった.修理対象となった28軒は,いずれも明治の大火後の明治33年から45年にかけて建築されている.ところで,市の『保存活用計画』における修理基準は,「原則として現状維持または復原修理とする」となっている.後者の復原修理を行うということは,建造物の当初の外観が変更されていることを意味している.
山町筋伝建地区は,明治の大火から間もない頃の町並みを1つのメルクマールとして修理・修景事業が進行しているが,町家以外の伝統的建造物や伝建地区周辺部との調和も図っていく必要があろう.

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