人文地理学会大会 研究発表要旨
2011年 人文地理学会大会
セッションID: 21
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第2会場
東南アジアと日本の大都市圏に関する一考察
*生田 真人
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抄録

  1980年代の中期以降、多くの日系企業が東南アジアへの進出と撤退とを繰り返してきた。企業の多くは、東京や大阪などの大都市圏に本社もしくは本部を置いている。日本と東南アジア諸国との経済統合は、徐々に進展している。国家間の経済統合は、実態としては各国の首都圏を含む大都市圏の間の結合を強化する方向で、展開している。
他方で東南アジア諸国は、中国とインドの経済成長に対抗するために経済統合を一層進め、2015年に経済共同体を構築しようとしている。この時、各国の首都圏は経済成長を実現する拠点である。本発表では、経済面のみならず政治的にも変貌を遂げつつある東南アジア諸国の6つの大都市圏と、日本の東京圏・大阪圏に注目した。そして、8つの大都市圏の現状と今後の役割について、各国の成長戦略と地域政策の2点に関連させながら検討した。
 東南アジアの大都市については、1)ジャカルタとマニラ、2)シンガポールとクアラルンプル、3)バンコクとホーチミンについて、市街地形成の特徴などの観点から検討した。また、東京圏については、首都改造計画の特徴と国土政策における首都圏の評価、大阪圏についはベイエリアの変化と多数に上る学研都市開発の失敗などを指摘した。
 アジアで将来、仮に東アジア共同体のような機構ができるとしても、各国の中央政府の役割が低下することはない。今後の東アジアで仮に、どのような地域統合が実現するにしても、国家の成長拠点は大都市圏であり続けると思う。そして、中央政府による国土管理の権力が強ければ強いほど必然的に、国内の大都市圏と地方圏の地域格差が問題となる。このため、中央政府の地域政策が政策課題となるだろう。その典型例が、今日のタイである。
 国家や国家を超える地域レベルで、様々な政策や構想が推進されている。こうした中で、日本の大都市圏は、アジアの大都市圏の安定的な成長に貢献するような長期的展望を持つ必要がある。

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