比較生理生化学
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総説
真核細胞のエネルギー・センサー「AMPキナーゼ」
眞鍋 康子井上 菜穂子高木 麻由美藤井 宣晴
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2012 年 29 巻 2 号 p. 70-75

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抄録

 AMPキナーゼは,真核生物において高度に保存されたセリン/スレオニンキナーゼである。キナーゼ活性が同定されたのは1970年代初期であるが,その生物学的重要性が認識され始めたのは最近になってからである。細胞内のエネルギー・レベルを感知して,低エネルギー環境に適応するための種々の調節を行う。生命活動のイベントの多くは,細胞レベルであっても個体レベルであっても,何らかの形でエネルギー代謝と関連している。そのため,AMPキナーゼが担う役割も単なるエネルギー・センサーに留まるものではなく,細胞の基本的活動(増殖・分化など)から疾患の生起にまでわたる。本稿では,AMPキナーゼの分子構造および機能を解説する。

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