比較生理生化学
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総説
頭足類の比較ゲノムプラットフォームの展望
小倉 淳
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2013 年 30 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

 頭足類は発達した眼と非常に高度な脳神経をもち,無脊椎動物の中で最も進化した生物の一つである。古くから発生学・進化学・神経生理学など様々な分野にわたるアプローチがなされており,脊椎動物と形態類似性を持つカメラ眼や神経内分泌系,閉鎖血管系は,頭足類の研究のみならず,脊椎動物の進化プロセスを研究する上で非常に重要な生物種である。しかしこれまで,頭足類ゲノムは解読されていない。この理由としては,頭足類ゲノムは全般的に2-5Gbとヒトを超えるゲノムサイズを持つことが珍しくなく,ゲノムを決定することが難しかったことがあげられる。こうした状況の中,2012年5月に様々な国における頭足類研究者およびゲノム研究者が集まり,頭足類ゲノム決定を推進するコンソーシアム(Cephalopod Sequencing Consortium:CephSeq)を立ち上げた。本稿では,比較ゲノム研究・比較トランスクリプトーム研究の最近の動向をふまえながら,頭足類ゲノムプラットフォームの今後の展開を紹介する。

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© 2013 日本比較生理生化学会
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