比較生理生化学
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総説
雌ヤギの生殖制御中枢を刺激するプライマーフェロモンの同定
村田 健武内 ゆかり
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2015 年 32 巻 2 号 p. 83-88

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抄録

フェロモンはある個体が発し,同種の他個体に受容されることで特定の行動や生理的変化を誘起する化合物である。特定の行動を生じさせるフェロモンはリリーサーフェロモン,生理的変化を誘起するフェロモンはプライマーフェロモンと呼ばれている。これまでに同定されたフェロモンのほとんどはリリーサーフェロモンであり,プライマーフェロモンは昆虫類を含めても数えるほどしか同定されていない。これは,プライマーフェロモンのバイオアッセイが非常に困難であることに起因すると考えられる。我々の研究グループは,シバヤギをモデル動物として,生殖制御中枢の活動を電気生理学的にリアルタイムで測定する独自のバイオアッセイシステムを用いることで,プライマーフェロモンの探索を行い,雄ヤギが発する4-ethyloctanalという化合物に活性を見いだした。このように中枢作用機構をとらえたバイオアッセイシステムを用いることで,畜産学的に重要な動物種のプライマーフェロモンの同定や作用機構の理解が進み,将来的にはフェロモンを用いた繁殖制御技術に応用されることが期待される。

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© 2015 日本比較生理生化学会
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