弘前医学
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弘前医学会抄録
〈一般演題抄録〉血液透析患者 (HDP) における血中および毛髪中濃度からみた微量金属量の考察
山谷 金光坪井 滋蔦谷 知佳子米山 美穂子佐藤 美沙季齋藤 久夫畠山 真吾大山 力舟生 富寿
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2017 年 67 巻 2-4 号 p. 187-

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抄録

【目的】血中微量金属類は、生体調節および体組成等に重要であるが、HDP における体内動態はあまりわかっていない。そこで、HDP について、血中および毛髪中濃度を測定し、健常人と対比してその過不足につき検討した。
【対象・方法】当院の血液透析施行中の患者 45例(年齢64±12歳)と健常人 52例(53±13 歳)を対象とし、PIXE 法により血中および毛髪中のアルミニウム、臭素、鉄、銅、亜鉛、セレン、鉛、クロム、水銀、ストロンチウム、コバルト、ニッケル、ガリウム、チタン、およびモリブデンの微量15元素含量を測定、検討した。
【結果】HDP では各血中濃度は健常人に比し、クロム、鉄、亜鉛、セレン、チタン、アルミニウムおよび臭素など約半数の元素の濃度は低かったが、水銀、鉛、コバルト濃度では高値であり、幅広く分布した。一方、毛髪中では、銅およびガリウム濃度がやや低値であった。
【まとめ】HDP では、微量金属類は健常人に比し、鉄、亜鉛、セレンなど半数の金属でやや低い傾向がみられ吸収の低下あるいは透析による除去が考えられたが、毛髪中の成績から、ほとんどの金属では健常人と差がなく、全体としてほぼ維持されていると考えられた。

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