植生史研究
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沖縄県北谷町伊礼原C 遺跡の 縄文時代前期相当期の大型植物遺体群
大松 志伸辻 誠一郎
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2001 年 10 巻 1 号 p. 17-32

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抄録
沖縄県北谷町伊礼原C遺跡の縄文時代前期相当期の大型植物遺体群を記載した。伊礼原C遺跡では,曽畑式土器が含まれる礫の間や落ち込みに果実や貝が塚をなし,それに土器や骨器が伴っていた。同定に至った大型植物遺体は56 分類群,同定に至っていないものは17 分類群だった。多産するのは大半がシイ属と考えられるブナ科果実とアダンである。この他,クワ属,カジノキ,アカメガシワ属,ホルトノキ,エゴノキ,チシャノキ属,およびホタルイ属,イバラモ属,スズメウリ属などが産出した。ブナ科果実が他の分類群に比して多いことから,ブナ科果実が選択的に利用され廃棄されたと考えられ,オキナワウラジロガシが多産した縄文時代後期相当期の前原遺跡の結果と考えあわせると,琉球列島でもブナ科果実が縄文時代において重要な食料資源であった可能性が高い。
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© 2001 日本植生史学会

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