植生史研究
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北海道根釧地方における湿原表層の花粉スペクトル
守田 益宗神谷 千穂那須 浩郎百原 新
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2006 年 14 巻 2 号 p. 45-60

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抄録
花粉化石による古植生復元のための基礎資料を得る目的で,北海道の6 湿原においてミズゴケのmosspolsterの花粉組成を周囲の植生と比較した。周辺に森林が未発達なユルリ島湿原と,歯舞湿原,豊里湿原では遠距離飛来花粉の比率が高く,高木花粉の約20%が北海道南部以遠からの飛来花粉であった。ユルリ島湿原に近くアカエゾマツ湿地林に囲まれた落石岬湿原では,高木花粉比率がユルリ島湿原より高かったが,遠距離飛来花粉は前記3 湿原と同程度の出現率であった。高木花粉のうちPicea の出現率は,湿原近傍のアカエゾマツ林の存在を反映して,平均16%を示した。周辺に森林が発達し,面積の広い霧多布湿原と別寒辺牛湿原では,高木花粉比率は上記の湿原より低く,周囲の森林から多量の高木花粉が供給されているにもかかわらず,さらに多量の草本花粉が広い湿原内から供給されていた。北海道南部以遠からの飛来花粉の比率は他の4 湿原よりやや低い値を示した。花粉飛散力が小さいとされるLarix 花粉は,付近にカラマツ植林地が存在する別寒辺牛湿原では全地点で検出されたが,付近にカラマツ林のない湿原でも低率ながら9 ~ 4 割の地点で検出された。以上の結果,非森林域では,森林域よりも遠距離飛来花粉の比率は高く,個々の遠距離飛来高木花粉の出現率は地点間の差が小さくなり,こうした遠距離飛来花粉や高木花粉の地点間のバラツキの解析によって,森林域と非森林域の区別が可能となる。
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© 2006 日本植生史学会

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