植生史研究
Online ISSN : 2435-9238
Print ISSN : 0915-003X
火災史を考える上でのmacro-charcoal 研究の重要性と 分析方法
日本の火災史研究におけるその役割
井上 淳
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 15 巻 2 号 p. 77-84

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抄録

微粒炭は,山火事や火入れなどによって生じる微細な炭である。堆積物中の微粒炭の定量分析に基づいた火災史の復元が行われている。日本での堆積物の微粒炭分析から,後期更新世末から完新世前半に火災が増加したことが明らかになっており,火災により植生が撹乱された可能性が示唆されている。日本での微粒炭研究は主に100 μm 以下のmicro-charcoal を用いたものであるが,近年100 μm 以上のmacro-charcoal の研究が注目を集めている。macro-charcoal は近隣の火災史を記録していると考えられており,分析の過程で微粒炭の破壊を最小限にできること,微粒炭とその他の粒子の区別が容易であること,短時間で効率よく分析が行えることなどの利点をもつ。本稿では,これらmacro-charcoal 研究の重要性とその分析方法について紹介する。

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© 2007 日本植生史学会
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