植生史研究
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北海道利尻島 姫沼ボーリングコアの最終氷期最寒冷期以降の大型植物化石群
紺野 美樹百原 新近藤 玲介重野 聖之宮入 陽介佐藤 雅彦五十嵐 八枝子沖津 進
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2012 年 21 巻 1 号 p. 21-28

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抄録
北海道利尻島姫沼南岸で採集したボーリングコアの大型植物化石を分析し,最終氷期最寒冷期以降の姫沼の古環境と植生の変遷を明らかにした。最終氷期最寒冷期の16,964±48 ~ 15,917±85 yrs BPまでの姫沼とその周辺には,乾燥・寒冷な気候と火山活動がもたらした貧弱な土壌環境下でエゾノヒメクラマゴケが生育するハイマツの疎林が分布していた。約15,917±85 yrs BP 以降には沈水植物のシャジクモ科,ヒメミズニラ,バイカモが生育する湖沼になった。 14,265±44 yrs BP までにはナナカマド属やミヤマハンノキが湖沼周辺のハイマツ群落に混生するようになり,それ以降には湖水面の上昇と拡大によって湖岸から植物化石がもたらされなくなった。
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© 2012 日本植生史学会

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