抄録
2014年に都市再生特別措置法の一部が改正され、政府が本格的にコンパクトシティ・プラス・ネットワークの実現に向けて舵を切った。これを受け、各自治体で立地適正化計画の策定が進められている。この実現には、自治体を越え都市圏全体の視点から、住区レベルで都市機能・居住誘導施策や交通整備施策を検討する必要がある。その検討材料として、全国を対象に長期的な住宅地特性変化と交通行動特性への影響を把握しておくことが重要である。そこで本研究では、2時点の全国都市交通特性調査の共通調査住区を対象に住宅地タイプを分類し、土地利用規制、人口密度等の住区特性と自動車燃料消費量の変化の関連を分析する。分析の結果、地方中心都市では全ての特性の変化が激しい一方、大都市圏衛星都市では都心や駅から遠い住区で土地利用規制の変更を伴う開発が行われており、自動車利用が増加したことがわかった。