抄録
北海道広尾の楽古川右岸に分布する初期最終氷期ピラオトリ層の花粉群の変遷を示す。調査した露頭断面で認識された19火山灰層のうち2層は最終氷期の広域火山灰Aso-4とK-Mに対比される。この堆積物から得られた花粉群は、主要木本花粉組成の変化から8局地化石花粉群帯HRO-I~VⅢに区分される。花粉群はK-Mの上下で操から泥炭への2回の堆積輪廻と対応して同じような変遷を繰り返す。それぞれの変遷は、下位より上位へ特徴的な花粉がハンノキ属から,カラマツ属,トウヒ属,そしてカラマツ属へと変わることで示される。この変化は湿原の発達と気候の寒冷化にともなう植物遷移を反映している。化石花粉群より復原される気候変動の振幅は上位の変遷の方が大きい。下位の変遷は酸素同位体ステージ5の中のより小さな変動を,上位の変遷は酸素同位体ステージ5から4へのより大きな変動を示している。