HISPANICA / HISPÁNICA
Online ISSN : 1884-0574
Print ISSN : 0910-7789
ISSN-L : 0910-7789
論文
N1 de N2 型名詞句の数・定性と総称解釈
分散分析にもとづいた考察
喜多田 敏嵩
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 2021 巻 65 号 p. 1-22

詳細
抄録

 スペイン語における総称性の研究は、単独名詞句の数・定性と総称解釈に関する記述に終始しており、複数の名詞句で構成される複合名詞句の数・定性と総称解釈の関係性については、大きな記述の不足が存在している。本研究では、複合名詞句の総称性に関する体系的記述の第一義的研究として、属格型複合名詞句N1 de N2 の総称解釈がN1/N2 の数・定性を自由に選択して得られるものではないことを検証した。

 第一に、N1/N2 が選択する数・定性がN1 de N2 の総称解釈に与える影響を調査すべく、スペイン語の母語話者 30 名を対象としたアンケート調査を実施した。その後、調査を通じて得られた回答結果に対してN1/N2 の数・定性を二要因とする二元配置分散分析を適用し、N1/N2 間の交互作用、N1/N2 の主効果の有無を考察した。その結果、N1/N2 がそれぞれ選択する数・定性の間には、N1 de N2 の総称解釈に関して水準 5 % で有意な交互作用が存在することが判明した。これにより、総称的なN1 de N2 を構成するにあたってN1/N2 の数・定性は自由に選択できるものではなく、組み合わせ次第で総称解釈の容認度に差異が生じるという仮説の妥当性が確認された。加えて、下位検定として実施した多重比較を通じて、N1/N2 の数・定性を一致させるほどN1 de N2 の総称解釈の可能性が高まるという傾向が明らかになった。

著者関連情報
© 2021, Asociación Japonesa de Hispanistas
次の記事
feedback
Top