抄録
2004年10月に襲来した大型の台風23号の豪雨に伴う出水により,淡路市を流れる郡家川では,多くの中
洲が消失するなど,河川環境が著しく改変された.本研究では,郡家川において,出水による撹乱がカワニ
ナ属およびゲンジボタル幼虫,成虫の個体群動態に及ぼす影響について,出水前後の比較から検討した.そ
の結果,カワニナ属の生息密度は出水後低下したものの,ゲンジボタル上陸幼虫の個体数は増加しており,
発光成虫数もやや増加の傾向があり,河床地形を改変する大規模の撹乱にも関わらず,郡家川では,両種と
もに著しい減少は見られなかった.