人と自然
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洪水による円山川水系の植生動態
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2007 年 17 巻 p. 53-65

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抄録
2004年10月20日に来襲した台風23号により,円山川水系では大規模な洪水が発生し,河川植生が大きな 影響を受けた.本報告では,洪水前後の河川植生の動態を把握するため,2004年10月の洪水前,12月の洪水直後および2005年10月の洪水一年後において,円山川中流域の3地区とその支流の八木川,大屋川の計5地区で現存植生調査を行った.その結果,次の点が明らかとなった.(1)ツルヨシ群集とシナダレスズメガヤ群落は,洪水により大半が流出したが,洪水一年後には残存した地下茎により回復する傾向が認められた.(2)カワラハハコ群落は,洪水により,群落の約3分の1が流出し,洪水一年後にも流出部の回復はみられなかった.(3)セイタカアワダチソウ群落とオオブタクサ群落は,洪水により表層土とともに流出した地点では回復しなかったが,砂泥などが堆積した低水敷から高水敷の広い範囲で分布を拡大する傾向が認められた.
© 2007 兵庫県立人と自然の博物館
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