人と自然
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絶滅危惧植物ナガボテンツキの種子発芽特性 -兵庫県加古川市産での事例-
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2009 年 20 巻 p. 63-66

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抄録

絶滅危惧植物ナガボテンツキの個体群再生・復元に向け,その種子発芽特性についての情報を得るために,兵庫県立人と自然の博物館の植物栽培施設で2002 年,2007 年,2008 年秋季に採集・保存された種子の一部を使用して,2008 年夏期および秋季,2009 年春期に発芽試験を行った.低温湿潤処理が0 日間および7 日間ではいずれの採集年の種子も発芽しなかった.低温湿潤処理が141 日間ではいずれの採集年の種子も発芽したが,温度条件間で比較するといずれも25℃恒温下より25/10℃変温下で発芽率が大きかった.これらの結果から,本種の種子は休眠の解除に低温湿潤処理を必要とし,発芽においてある程度の変温要求性をもっていることが示唆された.また,低温湿潤処理が141 日間,25/10℃変温下では,いずれの採集年の種子も100% に近い発芽率を示した.この結果から,本種の種子は6 ~ 7 年程度は発芽能力を保持することが確認された.

© 2009 兵庫県立人と自然の博物館
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