人と自然
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尼崎の森中央緑地における地域性苗による森づくりの現状
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2013 年 24 巻 p. 123-134

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抄録
森づくり開始から6 年が経過した尼崎の森中央緑地において,森づくりの現状を評価するための調査を行った.調査区数200 の植生調査資料をもとに,森づくりの目標である六甲山などの周辺地域に現存する森林群落の構成種を調査した.その結果,尼崎の森中央緑地で同様の森づくりを行うのに必要となる植物種数は302 種であることがわかった.これに対して2013 年3 月末時点の尼崎の森中央緑地での植栽種数は124 種であり,全体の41%であった.群落構成種に対する植栽種の割合を生活形別にみると,高木,小高木の比率は70%以上と高かった.つる,多年草については今後本格的な導入段階に入るため,現状では33%以下と低かった.中央緑地では種子供給源となる樹林が付近になく,自然状態での群落構成種の新入が不可能な立地条件にあるため,現存群落の種多様性と種組成に近づけるためには現存群落構成種の多くを占める多年草の苗の生産と導入が不可欠である.
© 2013 兵庫県立人と自然の博物館
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