人と自然
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フラグシップ種を活用したローカル認証の役割 —コウノトリ育む農法とサーモン・セーフ認証−
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2016 年 27 巻 p. 109-115

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抄録

農水産物の生産過程における持続可能性の証明として様々な環境認証制度が設立されている.本稿では,特定の地域のみを対象とした環境認証制度である「ローカル認証」のうち,特にフラグシップ種と呼ばれる一般への認知と人気の高い動植物を認証制度の象徴として活用するものの特徴について論じるために,兵庫県豊岡市のコウノトリ育む農法および北米西海岸のサーモン・セーフ認証の2 事例について,認証範囲の設定の合理性,認証という制度化のメリット,フラグシップ種の役割,科学的根拠を担保する方策,生産者以外のステークホルダーとも協働を促す工夫,の5 つの視点から比較する.結果,ローカル認証は,特定の地域環境に対応した基準を設定し,認証という持続可能な生産活動と経済活動を促す仕組みを通じて、地域課題の解決をもその設計に組み込んでいることや,フラグシップ種を活用することで,空間的範囲と環境的・社会的関連を視覚的に明確にする効果もあることが明らかとなった.

© 2016 兵庫県立人と自然の博物館
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