人と自然
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ヤナギ属の子房あたりの胚珠数における種間変異
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2016 年 27 巻 p. 163-174

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抄録

ヤナギ属植物の雌性の繁殖個体の同定には,主に花の外見的形質が用いられ,子房の分解が必要な胚珠数の活用はあまりされてこなかった.胚珠は種ごとに一定の特性を持つとも考えられ,視覚的分類ができる貴重な器官でもある.ヤナギ属植物の種同定に役立つ分類形質情報を増やすことを目的として胚珠数に注目し,種ごとに子房あたりの胚珠数を調査し文献による胚珠数の報告と合わせ,日本に生育するヤナギ属植物の胚珠数をまとめた.胚珠数が最も多かったのはタチヤナギ,次いでバッコヤナギ,オノエヤナギであった.また,本調査で取り扱った交雑種とみられる個体の胚珠数はいずれも推定される両親の中間的な値におさまり,胚珠数の観点からも同定の妥当性が確認できた.

© 2016 兵庫県立人と自然の博物館
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