人と自然
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東京西部にある津田塾大学小平キャンパスにすむタヌキの食性
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2017 年 28 巻 p. 1-9

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抄録

東京西部の市街地にある津田塾大学に生息するタヌキの食性を糞分析により明らかにした.調査地の林は植林後90 年経過したシラカシ林で,林内は暗いため,都市郊外の雑木林のタヌキの食物になる低木や草本は少なかった.合計で109 の糞試料をポイント枠法で分析したところ,糞組成は晩冬には果実や葉など多様であったが, 春には昆虫と哺乳類が増え,夏には昆虫と葉が増え,秋には果実と種子が優占し,初冬には再び多様になるとい う季節変化を示した.果実としては高木のムクノキ,カキノキの果実が重要であり,低木や草本の果実は乏しか った.津田塾大学は周囲を市街地に囲まれているが,タヌキ糞中の人工物は少なかった.

© 2017 兵庫県立人と自然の博物館
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