抄録
人のコミュニケーション行動は多感覚的である.この多感覚性はアクセシブルな情報システムであるマルチメディアDAISY にも応用されている.しかし聴覚認知が難しい高次脳機能障がい者では肉声は聞こえ難いはずだが,肉声以外に何を手がかりに情報を理解しているのかは不明である.そこでマルチメディアDAISY 形式の文章,イラストレーション,両者を合わせたものをそれぞれ作成し,男女の職業アナウンサーの肉声再生と同時に表示して,高次脳機能障がい者に理解できるかどうかを聞いた.すると両者を合わせたものは障がいの重い人も理解したが,文章だけでは非障がい者と重い障がいの人の手がかりに,イラストレーションだけでは軽い人の手がかりになっていた.目の前にいる人の語りは,ほとんどの人が理解した.マルチメディアDAISY は人に見られる多感覚統合とは異なる.しかし,制御しやすいマルチメディアDAISY 形式は,人のコミュニケーション行動に類似したアクセシブルな情報伝達手段として,人の多感覚統合の研究にも応用可能である.