抄録
兵庫県養父市には,蛇紋岩で構成される関宮岩体が分
布している.この岩体周辺における近世~近代の石造物
の分布を明らかにするため,兵庫県北部地域の神社の石
造物の観察と帯磁率測定調査を行った.この結果,蛇紋
岩製の石燈籠や狛犬,その他石造物は,江戸時代後期か
ら第二次世界大戦終戦までの昭和時代のものが見出され
た.現在露出している関宮岩体の蛇紋岩を帯磁率により,
H 群,M 群,L 群に区分し,燈籠の石材と対比した結果,
ほぼすべての石材がM 群に相当した.これらの石材は,
関宮町の相地川,大屋町の加保坂川,大谷川などで採取
されたと考えられる.