人と自然
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兵庫県北部に分布するコナラ二次林とブナ二次林の 種組成と垂直分布
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2022 年 32 巻 p. 47-56

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抄録

兵庫県北部に位置する三川山の北斜面とその山麓部に はまとまった面積を有するコナラ二次林・ブナ二次林が 数多く分布している.本研究では,当地域の35 地点(標 高40‒500 m)においてコナラ二次林・ブナ二次林の 植生調査を実施し,両二次林の種組成・垂直分布の相違 を明らかにすることを目的とした.種組成の違いにより 調査林分は二つの群落単位(タイプA,タイプB)に 区分された.高木層の主な優占種はタイプA がコナラ で,タイプB がブナであった.これらのことから,調 査地域に分布するコナラ二次林とブナ二次林の種組成は 明確に異なることがわかった.DCA の1 軸スコアと暖 かさの指数(WI),寒さの指数(CI)の間にはそれぞれ 強い正の有意な相関が認められた.このことから,コナ ラ二次林とブナ二次林の種組成の相違は気温条件の違い を大きく反映していると考えられた.コナラ二次林とブ ナ二次林の分布の境界をなす標高は300 m 前後である ことが示唆された.この標高は調査地域におけるウラジ ロガシ自然林・ブナ自然林の分布境界の標高と類似して いた.標高300 m 地点のWI とCI はそれぞれ約95 ℃・ 月,約-10 ℃・月であると推定された.

© 2022 兵庫県立人と自然の博物館
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