抄録
2023年から2024年にかけて,宮城県牡鹿半島でセンサーカメラを用いた動物相の調査を実施した.期間
中,39種の動物(哺乳類11種,鳥類28種)を記録した.牡鹿半島の動物相の種の豊富さは東北地方の他
の調査地と同程度だったが,記録された動画の74%はニホンジカCervus nippon(以下シカ)に偏っており,
近年の半島内のシカの生息数の増加と分布拡大を反映していた.シカは秋に多く撮影され,これは交尾期の
活動性の高まりを反映していると考えられた.日内では夜間の撮影頻度が高く,半島内で実施されている有
害駆除を避けるためと考えられた.食肉類の一部は,シカの撮影頻度が高い場所で多く撮影された.植物生
産性の高い場所に両者が引き寄せられた可能性,もしくは食肉類がシカの死体を食物として利用している可
能性が示唆された.シカの撮影頻度と撮影された動物種数に関連はなかったが,シカが動物相に与える影響
については,より長期的な調査を踏まえて判断すべきである.