交雑法により育種した広島もみじ酵母(H16-2 株)は,製成酒で7~8 ppmのカプロン酸エチル生成能を有し,発酵力が強く,製成酒の酸度が低である特徴をもつ.県内酒造会社からの要望を受けて,広島もみじ酵母のバリエーションを増やすために,H16-2 株よりも酸度が高い酵母を開発した.H16-2 株を親株とし,自然誘発シクロヘキシミド耐性株から酸度改良候補株を取得し,アルコール脱水麹添加麹汁培地発酵試験及び総米1 kg 小仕込試験により2 株を選抜した.総米110 kg醸造試験において,酸度がH16-2 株の1.1 倍で,発酵能やカプロン酸エチル生成能等のH16-2株の特徴を維持することを確認した酸度改良株No.72 株を獲得した.