北海道畜産草地学会報
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原著
放牧草の摂取割合および粗タンパク質含量が泌乳牛の窒素およびエネルギー利用に及ぼす影響
三谷 朋弘 上田 宏一郎遠藤 哲代高橋 誠中辻 浩喜近藤 誠司
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2014 年 2 巻 1 号 p. 51-62

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抄録

本研究では、述べ170頭分の放牧飼養時に行った出納試験結果を用い、放牧草摂取割合と放牧草粗タンパク質(CP)含量の違いが泌乳牛の窒素(N)およびエネルギー利用に及ぼす影響を検討した。データを放牧草摂取割合により2群(LI: < 35%, HI: > 35%)、さらにHI群内で放牧草CP含量により3群(LP: < 15%, MP: 15~18.5%, HP: > 18.5% of DM)に分類し、解析に用いた。総N摂取量および尿中N排泄量は、放牧草摂取割合およびCP含量の増加に伴い増加した。総N摂取量に対する乳中N排泄割合は放牧草摂取割合の増加に伴い上昇し、HI群内では放牧草CP 含量の増加に伴い低下した。可消化エネルギーおよび代謝エネルギー(ME)摂取量はHI群でLI群より高かったが、HI群内では放牧草CP含量の影響はなかった。乳エネルギー生産量はHI群でLI群よりも高かったが、HI群内では放牧草CP含量は影響しなかった。回帰分析の結果、生産に利用可能なME摂取量(ME摂取量-維持に要するME量)の乳生産に対するエネルギー転換効率(回帰式の傾き)は、LI群でHI群より低く、HI群内では放牧草CP含量の増加に伴い減少する傾向にあった。

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© 2014 北海道畜産草地学会
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