北海道畜産草地学会報
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原著
泌乳初期乳牛における濃厚飼料中デンプン源の高消化繊維への代替がエネルギーバランスおよび排卵機能回復に及ぼす影響
Bo Min正木 智之永野 昌志栁川 洋二郎三谷 朋弘上田 宏一郎 近藤 誠司
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2015 年 3 巻 1 号 p. 45-53

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抄録

16頭のホルスタイン種乳牛を分娩後2グループにわけ、4kg原物/日の蒸煮圧片コーン(C区)もしくはビートパルプ(BP区)を給与する2つの飼料処理のいずれかにランダムに配置した。供試験牛には処理飼料のほかに、乳牛用配合飼料(4kg原物/日)、大豆粕(2kg原物/日)、イネ科乾草(2kg原物/日)およびコーンサイレージ(自由採食)を給与した。分娩後60日まで、乾物摂取量、全消化管エネルギー消化率、乳量、乳成分、血液成分濃度(グルコース、遊離脂肪酸、尿素態窒素およびインスリン)、反芻胃内発酵産物濃度、超音波画像診断による卵巣の卵胞の数とサイズを測定した。乾物摂取量はC区に比べてBP区で有意に高い値を示した。また、エネルギー消化率についてもC区に比べてBP 区で高い傾向を示した。代謝エネルギー(ME)摂取量は、C区に比べてBP区で有意に高い値を示した。ME摂取量からME要求量を差し引いたエネルギーバランスは、分娩後週数と飼料処理との交互作用の傾向が認められ、いずれの区ともに分娩後3週目までは負の値であったが、分娩後4~6週目ではC区は負の値であるのに対しBP区では正の値を示した。反芻胃内の総揮発性脂肪酸中の酢酸モル比はC区がBP区より有意に低く、プロピオン酸モル比はC区がBP区よりも有意に高い値を示した。血中インスリン濃度は両区間に差はなかったが、グルコース濃度はC区がBP区より高い傾向を示した。血液中遊離脂肪酸濃度は、いずれの区ともに分娩後週数の経過にともない減少したが、区間の差および分娩後週数と飼料処理の交互作用は認められなかった。分娩後60日までに、両処理ともに8頭中6頭が排卵した。このうち、C区では6頭が2回排卵したが、BP区では1頭のみが2回排卵した。初回排卵までの日数は、C区はBP区に比べ有意に短かった。

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© 2015 北海道畜産草地学会
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