歴史言語学
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日本語語彙の近代化における外来要素の受容と調整
田中 牧郎
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2023 年 12 巻 p. 91-106

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抄録

日本語史の近代を,明治時代以降ととらえるとき,漢語爆発期(明治前期),漢語 淘汰期(明治中期~昭和前期),外来語増大期(昭和後期~平成期)の 3 期に分ける ことができる。漢語爆発期では,西洋語彙の翻訳借用によって多くの漢語が登場し た。漢語淘汰期では,前の期に登場した漢語の多くが淘汰され,一部の漢語は定着 するが,定着する漢語は既存の和語との間で語彙体系を調整し,安定していく。外 来語増大期は,西洋語彙が音訳によって受容され,定着する外来語は既存の和語・ 漢語との間でやはり語彙体系に調整を生じ安定していくが,スタイル差によって使 い分けられるようになるものもある。

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© 2023 日本歴史言語学会
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