歴史言語学
Online ISSN : 2758-6065
Print ISSN : 2187-4859
有坂・池上法則の新解釈
白鳥 詩織
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2024 年 13 巻 p. 31-54

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抄録
 早田輝洋は,舌根調和を日琉祖語の特定のドメインに再建する仮説を提唱した。 木田章義とジョン・ホイットマンは早田の仮説の射程を拡大したが,有坂・池上法 則における *u, *o₁, *o₂ の振舞を説明しなかった。本論文では,この問題を解決す るために,有坂の第一則と第二則を音法則の連鎖として再解釈する。文献学的証拠 と内的再建によれば,有坂の第二則の最も厳格な部分は福田の法則 (*o₂ > o₁ /u$_) によって再解釈可能である。しかし,有坂の第一則を音変化として解釈することは 難しい可能性がある。以上は,日琉祖語の母音体系の改訂の必要を暗示するもので ある。
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© 2024 日本歴史言語学会
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