1997 年 10 巻 p. 66-82
社会福祉の歴史は貧困や失業等による社会経済生活の問題に起因する児童・家族問題や産業化と都市化にともなう地域生活の変容に伴い発生する問題への社会的対応として展開してきた。戦後50年を経た今日,北海道社会における社会経済的変化がどのように社会福祉サービスの方向づけと関連してきたのか。北海道における戦後の社会変動と社会福祉の力動的な関係を意識しつつ,社会福祉政策のグローバルな変化を射程に入れて直面する課題への接近を試みることにしたい。とくにゴールドプラン以降,社会福祉政策は大きく変化しているが,過疎地域が多く,医療サービスへのアクセスも十分とはいえない北海道の社会福祉の展開にどのような意味と関連をもたらしているのか,公的介護保険制度の導入の問題を含めて総括する。