2015 年 84 巻 3 号 p. 227-232
適期に収穫したニホンナシ‘ゴールド二十世紀’果実を,0°C,4°C,10°C,15°C,22°C の条件下で 4 週間貯蔵し,その間の経時的な糖組成の変化および酸性インベルターゼ(PpAIV1, 2)およびショ糖リン酸合成酵素(PpSPS1)の遺伝子発現を調査した.22°C で貯蔵した果実は,急激な硬度の低下と果皮の黄化がみられた.10°C および 15°C で貯蔵した果実は,0°C,4°C,および 22°C で貯蔵するよりも,低いショ糖含量と高い果糖およびブドウ糖含量を示した.10°C と 15°C で貯蔵した果実,処理後 1 週間で PpAIV2 の発現が上昇し,2 週間後に PpAIV1 の発現が上昇した.一方,0°C および 4°C で貯蔵した果実では,4 週間後に PpAIV1 と PpAIV2 の急激な発現上昇がみられた.酸性インベルターゼ(PpAIV1, 2)の遺伝子発現は,温度の影響を強く受け,遺伝子発現の変動の後,糖組成が変化するものと考えられた.