The Horticulture Journal
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依頼総説
単子葉花き園芸植物における花器官形成の分子機構
菅野 明
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2016 年 85 巻 1 号 p. 8-22

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抄録
双子葉のモデル植物であるシロイヌナズナやキンギョソウの遺伝学的・分子生物学的解析により,花器官形成の ABC モデル(現在は ABCE モデル)が提唱された.このモデルは形質転換や突然変異体を用いた遺伝子の機能的な解析により,さまざまな双子葉植物で支持されている.双子葉植物は 2 層の花被を有しており,緑色のがく片と華やかな花弁から構成されているものが多い.一方,ユリなどの単子葉植物の花被は 2 層の花弁状器官から構成されている.この花の形態は改変 ABC モデル(現在は改変 ABCE モデル)で説明され,このモデルによれば,B クラス遺伝子ウォール 1 から 3 まで発現することにより,ウォール 1 と 2 に花弁状花被が形成される.本総説では,単子葉植物における花器官形成の分子機構について解説する.花き園芸植物では花被が重要な形質の一つであることから,花被の形成や改変に関与する B および C クラス遺伝子に着目した.本総説においてはこれらの花器官形成遺伝子の発現解析や花の突然変異体を用いた機能解析について概説するとともに,園芸的に有用な八重化または緑化した花の器官形成の分子機構についても概説する.また単子葉植物にはユリタイプの花だけでなく,ツユクサのように花被ががく片と花弁に区別できる植物やラン科植物やイネ科植物のような特殊な形態の花を有する植物がある.本総説ではこれらの花器官形成の分子機構についても概説する.
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