The Horticulture Journal
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原著論文
ジベレリンのラベンダーに対する開花促進効果は低温処理期間に応じて変化する
腰岡 政二堀本 大雅村松 嘉幸窪田 聡久松 完
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2016 年 85 巻 2 号 p. 169-176

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抄録

低温により誘導されるラベンダーの茎伸長と開花に対するジベレリン(GA)の影響について,各種 GA 類と GA 生合成阻害剤を用いて調べた.GC/MS による内生 GA1,GA19,GA20 および GA53 の同定は,ラベンダーにおいて活性 GA1 に至る早期 13 位水酸化経路が機能していることを示している.茎伸長と開花促進に対する GA の効果ついて,GA の種類による違いは認められなかった.GA は低温処理の有無に関わらず茎伸長を促進したが,低温処理がない場合は開花を誘導しなかった.GA 生合成阻害剤は茎伸長を阻害し開花を遅延した.この阻害と遅延は GA により回復した.ラベンダーの開花には少なくとも数週間の低温処理期間が必要であり,その期間は温度に依存した.低温処理で開花が促進された植物でも,低温処理期間が少ない植物では,十分な低温処理期間がある植物に比較して開花が遅延した.GA はこの開花の遅延を回復した.しかし,十分な低温処理期間がある植物では,GA はどのような促進効果も示さなかった.以上から,ラベンダーの開花には内生ジベレリンの発現が必要であること,ジベレリンによるラベンダーの開花促進効果は低温処理期間に依存して変化すること,GA は開花のための低温処理不足を補完するが低温処理の代替にはならないことが明らかとなった.

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