The Horticulture Journal
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原著論文
接ぎ木によるピーマン果実へのカドミウム蓄積の抑制
森川 クラウジオ健治
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2017 年 86 巻 1 号 p. 45-51

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抄録

カドミウム(Cd)による野菜の汚染は世界的に問題となっている.そこで,日本で利用されているピーマン Capsicum annuum L. 52 品種で果実当たりの Cd 含量を減少させるために 3 つのポット試験を実施した.最初に 2.1 mg・kg−1 の濃度で Cd を含む土壌で栽培し低 Cd 含量の品種の選定を行った.2 つ目の実験では,Cd を蓄積しにくい台木を選定した.この効果をもとに果実への Cd 蓄積を減少させる方法としての接木の効果について検証する実験を行った.果実への Cd 蓄積能力は品種により違いがみられた.果実新鮮重当たりの Cd 含量は 0.018 から 0.088 mg・kg−1 の範囲であった.日本で栽培されているトウガラシ属の台木品種の中から,‘台助’を Cd の蓄積が少ない品種として選定した.台木‘台助’に‘エース’を接ぎ木することにより,果実新鮮重当たりの Cd 含量は 40%低下した.しかし,Fe,Mn や Zn など人の栄養にとって重要な他の元素もそれぞれ 20%,29%,42%低下した.

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