The Horticulture Journal
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原著論文
カンキツの早期生理落果における果実の離脱誘導と離脱特性
李 曦北島 宣羽生 剛片岡 圭子滝沢 理仁中崎 鉄也
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2017 年 86 巻 1 号 p. 11-18

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抄録

カンキツにおいて,採取果実の寒天挿しにより果実の離脱を誘導する新たな方法を開発した.この方法により,ウンシュウミカン,‘清見’,ヒュウガナツ,ポンカンの早期生理落果における果実の離脱特性を明らかにした.一次生理落果において,採取果実の離脱はヒュウガナツで早く,ウンシュウミカンとポンカンで遅く,‘清見’は中間であり,三つの型に分けられた.これら 4 種・品種の 96 時間後における累積離脱率は 80%以上となった.一方,二次生理落果における果実の離脱開始はヒュウガナツが最も早く,ウンシュウミカンが最も遅かったものの,累積離脱率はポンカンで 84%と最も高く,ウンシュウミカンで 6%と最も低かった.これらの種・品種における一次生理落果と二次生理落果の離脱パターンは異なった.高温条件はウンシュウミカンとポンカンの採取果実の離脱を促進した.2012 年の開花 7 週間後採取の‘清見’,ヒュウガナツ,ポンカン果実,2013 年の開花 5 週間後採取のポンカン果実で葉を着けて寒天挿しを行うと離脱が抑制された.早期生理落果における採取した子房および果実の寒天挿しにより,4 種・品種の子房および果実の離脱特性が明らかになった.

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