2020 年 10 巻 2 号 p. 91-94
本研究は要介護高齢者の30‐second chair-stand test(CS‐30)と身体機能との関連を検討した。対象は通所介護施設に通所する要介護高齢者44名とした。身体機能は握力,大腿四頭筋筋力,足趾把持力を計測した。CS‐30との関連性を検討するために,要介護度を統制変数とした偏相関解析およびCS‐30を従属変数とした重回帰分析を実施した。偏相関係数の結果,大腿四頭筋筋力がCS‐30と有意な相関が認められた。重回帰分析の結果,CS‐30に独立して関連する身体機能要因として大腿四頭筋筋力が抽出された。通所介護施設に通所する要介護高齢者においてCS‐30は大腿四頭筋筋力と関連していることが示唆された。通所介護施設では下肢筋力を定量評価できる機器を所有していない施設もあるため,専用の機器を使用せず簡便に大腿四頭筋筋力を反映するCS‐30は通所介護施設にとって有用な指標になると考える。