2020 年 10 巻 3 号 p. 137-141
本研究の目的は,Generalized Joint Hypermobility(GJH)を呈する若年成人女性の脊柱可動性,体幹筋量および腰痛の有訴者率を調査し,腰痛への影響を検討することである。対象は医療系女子大学生125名とした。身体的特徴として,体幹筋量および脊椎可動性を計測した。Beighton スコアを用いてGJH の割合を検討,さらに健常群,Limited Joint Hypermobility(LJH)群,GJH 群の3群にわけ,各評価項目の3群間比較を行った。GJH の割合は36.0%を示した。3群間比較の結果,GJH 群では全脊柱伸展・屈曲可動性が有意に高値を示したが,体幹筋量,腰痛の有訴者率には有意差を認めなかった。これらの知見からGJH を呈する若年成人女性では過剰な脊柱可動性を有したが,体幹筋量の減少や腰痛の有訴者率増加は認めず,GJH による腰痛への影響は少ないことが示唆された。