2021 年 10 巻 4 号 p. 203-207
本研究は,過度の前傾姿勢を警告音(アラーム)で知らせる上体角度センサーシステムの利用によって介護職員の業務中にみられる過度前傾姿勢の回数を抑制することができるか否かについて検証することを目的とした。研究対象は施設で働く介護職員16名であった。実験は2つの期間(各3日間)が設けられた。一つは前傾姿勢をアラームで知らせないコントロール期間(A期)であり,もう一つは前傾姿勢をアラームで警告する介入期間(B期)であった。測定項目は41°以上の前傾姿勢を5秒以上継続した回数であり,それぞれの期間で得られたデータを比較した。その結果,41°以上の前傾姿勢がみられた回数はA期に比べB期において有意に減少していた(p<0.01)。上体角度センサーから受ける過度の前傾姿勢に関連するフィードバック情報は,医療の現場で働く介護職員の良姿勢保持に貢献できる可能性を示す。