2022 年 12 巻 1 号 p. 7-12
本研究の目的は,男子大学生の生活習慣と動脈硬化の指標である上腕-足首脈波伝播速度(brachial-ankle pulse wave velocity; baPWV)との関連について検討することである。健常な男子大学生を対象に,生活習慣のアンケート調査を実施し,上腕-足首脈波伝播速度(baPWV)を測定した。baPWV のカットオフ値で群分けして生活習慣を比較した結果,食事の規則性においてbaPWV 低値群と比較してbaPWV 高値群の方が有意に低い値を示した。次に,血圧を層別化したうえでbaPWV との関連について,正常血圧を基準としたロジスティック回帰分析を行った結果,正常高値,高値血圧に有意な関連が認められた。これらのことから,食事時刻のずれや欠食がある者の方がbaPWV は高いこと,正常域血圧にある大学生であっても,血圧が高くなるほどbaPWV が高くなる傾向にあることが示唆された。食行動と動脈硬化については,先行研究でも関連が報告されており,動脈硬化予防のために早期の対応が必要なのかもしれない。