ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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12 巻, 1 号
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原著
  • 服部 寛士, 釜崎 大志郎, 大田尾 浩, 泉 清徳, 古後 晴基
    原稿種別: 原著
    2022 年 12 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/08/03
    ジャーナル フリー

    本研究は,若年者と高齢者における心的時間測定課題を用いた運動イメージ想起能力の特徴を検討することを目的とした。対象は,若年者33名(平均年齢20.8±0.6歳),高齢者68名(平均年齢74.2±7.4歳)とし,Timed Up and Go test(TUG),心的時間測定課題のimagined Timed Up and Go test(iTUG)を開眼,閉眼それぞれ測定した。加えて,運動イメージ想起能力であるTUG とiTUG の時間的誤差(delta time)を開眼,閉眼それぞれ算出した。開眼,閉眼delta time を対応のあるt 検定で比較し,運動イメージの過大評価と過小評価の比率を母比率の検定で比較した。その結果,開眼と閉眼のdelta time は若年者で有意差を認めず,高齢者で開眼delta time が有意に増加していた。また,若年者,高齢者ともに,過大評価の比率が有意に高かった。これらの結果から,若年者は,開眼,閉眼の条件下で,運動イメージ想起能力が同程度である可能性が示唆された。一方,高齢者は,開眼で行うことで運動イメージ想起能力が低下する可能性が示唆された。

  • 木下 裕太, 中村 遥哉, 石井 皓己, 岩瀬 弘明
    原稿種別: 原著
    2022 年 12 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/08/03
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,男子大学生の生活習慣と動脈硬化の指標である上腕-足首脈波伝播速度(brachial-ankle pulse wave velocity; baPWV)との関連について検討することである。健常な男子大学生を対象に,生活習慣のアンケート調査を実施し,上腕-足首脈波伝播速度(baPWV)を測定した。baPWV のカットオフ値で群分けして生活習慣を比較した結果,食事の規則性においてbaPWV 低値群と比較してbaPWV 高値群の方が有意に低い値を示した。次に,血圧を層別化したうえでbaPWV との関連について,正常血圧を基準としたロジスティック回帰分析を行った結果,正常高値,高値血圧に有意な関連が認められた。これらのことから,食事時刻のずれや欠食がある者の方がbaPWV は高いこと,正常域血圧にある大学生であっても,血圧が高くなるほどbaPWV が高くなる傾向にあることが示唆された。食行動と動脈硬化については,先行研究でも関連が報告されており,動脈硬化予防のために早期の対応が必要なのかもしれない。

短報
  • ―成人期における身体機能調査からの一考察―
    八田 友楽, 平田 真実, 浦嶋 優夢, 小俣 杏侑実, 木村 智子
    原稿種別: 短報
    2022 年 12 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/08/03
    ジャーナル フリー

    近年,エピジェネティクスの概念が導入され,Developmental Origins of Health and Disease(DOHaD)学説に基づくmetabolic syndrome(MS)などの非感染性疾患リスク上昇が危惧されるようになってきた。本邦では2000年代以降,低出生体重児(Low birth weight infant:LBWI)が急増している。そこで,2000年前後に生まれた男子大学生を対象とし,MS と関連の深い筋機能がLBWI の影響を受けているのかを確認する目的で調査を行った。対象よりLBWI 群(5名)と正常出生体重児(normal birth weight infant:NBWI)群(5名)を抽出し,筋力,運動耐容能,身長,体組成,血圧,腹囲,学齢期と思春期における運動時間の各項目について両群間で比較検討した。その結果,運動耐容能はLBWI 群が有意に低値を示した(p<0.01)が,他の項目に有意差は認められなかった。LBWI 群における運動耐容能低下の背景として,骨格筋のインスリン抵抗性増大によるエネルギー産出効率低下が引き起こされている可能性が示唆された。MS 予防の観点から,LBWI は成人期を迎える前から筋機能向上に向けた支援を図る必要性があることが示唆された。

  • -パイロットスタディから見えてきたこと-
    浦嶋 優夢, 小俣 杏侑実, 八田 友楽, 平田 真実, 木村 智子
    原稿種別: 短報
    2022 年 12 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/08/03
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,出生時期に低体重であった者(Low birth weight infant:LBWI)と正常体重であった者(normal birth weight infant:NBWI)が成人期を迎えた際の骨量ならびに骨の発育に与える因子に違いが認められるかを確認し,将来の骨関節疾患発症リスクについて検討することである。対象は,本邦でLBWI 急増時期に生まれ,現在成人期にある女子大生を母集団とし,LBWI 群(6名)とNBWI 群(6名)を抽出した。骨量面積率や骨塩量,下腿身長比や体重などの計測とともに,学齢期と思春期の運動時間を聴取し,両群間で比較した。その結果,両群間で骨量面積率などに有意差は認められなかったが,下腿身長比はLBWI 群が有意に低値を示した(p<0.05)。従って,出生時体重の違いは成人期の骨密度には影響を及ぼさないが,LBWI は下腿身長比の短縮という形で骨の発育不全を引き起こす可能性が示唆された。今後,この骨発育不全が引き起こされるメカニズムの解明とともに,LBWI が老年期の骨に与える影響についても追跡調査する必要性があることが示唆された。

  • ―ピークフローメーターでのCough peak flow 測定値との一致性と, 咳嗽評価の適否における検証研究―
    江越 正次朗, 竹原 雷蔵, 野島 日菜, 三浦 輝之, 堀江 淳
    原稿種別: 短報
    2022 年 12 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/08/03
    ジャーナル フリー

    本研究では,スパイロメーターを使用したCough peak flow(CPF)の測定値(CPF(S))と,ピークフローメーターを使用したCPF の測定値(CPF(P))との差異について検証することを目的とした。健常若年成人44名に対し,CPF(S)とCPF(P)を測定し,Bland-Altman 分析による一致性を検証した。また,各CPF の再現性と咳嗽評価の妥当性について検証した。その結果,CPF(S)はCPF(P)よりも低く,有意な固定誤差(p<0.001)が認められ,比例誤差(p<0.001)も認められた。CPF(S)とCPF(P)の級内相関係数は,それぞれ,0.900と0.941で高い再現性が得られた。また,各CPF と咳嗽関連指標との間には有意な相関関係を示し,妥当性が認められた。以上より,CPF(S)の測定値は,CPF(P)と異なったが,CPF(S)の測定方法は咳嗽力評価に十分適していた。

活動報告
  • 小野 武也, 佐藤 勇太, 廣瀬 勇太, 菅原 昌浩, 池尾 諒真, 三村 俊介, 鎌谷 海斗
    原稿種別: 活動報告
    2022 年 12 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 2022/06/30
    公開日: 2022/08/03
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究は,足関節最大底屈位に固定して足関節背屈制限を発生させる状況において,足関節を動かさないでヒラメ筋の伸張を目的に筋圧迫を加えることで足関節背屈制限発生の予防に寄与するか検討した。〔対象と方法〕8週齢のWistar 系雄ラットを対象として,左後肢は関節固定を行い,右後肢は関節固定と筋圧迫を行った。〔結果〕結果は,筋圧迫が関節可動域制限発生を予防することはなかった。〔結語〕今後は関節固定肢位や圧迫方法をさらに検討する必要がある。

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