近年,エピジェネティクスの概念が導入され,Developmental Origins of Health and Disease(DOHaD)学説に基づくmetabolic syndrome(MS)などの非感染性疾患リスク上昇が危惧されるようになってきた。本邦では2000年代以降,低出生体重児(Low birth weight infant:LBWI)が急増している。そこで,2000年前後に生まれた男子大学生を対象とし,MS と関連の深い筋機能がLBWI の影響を受けているのかを確認する目的で調査を行った。対象よりLBWI 群(5名)と正常出生体重児(normal birth weight infant:NBWI)群(5名)を抽出し,筋力,運動耐容能,身長,体組成,血圧,腹囲,学齢期と思春期における運動時間の各項目について両群間で比較検討した。その結果,運動耐容能はLBWI 群が有意に低値を示した(p<0.01)が,他の項目に有意差は認められなかった。LBWI 群における運動耐容能低下の背景として,骨格筋のインスリン抵抗性増大によるエネルギー産出効率低下が引き起こされている可能性が示唆された。MS 予防の観点から,LBWI は成人期を迎える前から筋機能向上に向けた支援を図る必要性があることが示唆された。
抄録全体を表示