抄録
本研究の目的は,地域在住高齢者の身体機能の性差の特徴について明らかにすることである。方法は,地域在住の高齢者145名(男性79名,女性66名)を対象に,背筋力と握力,大腿四頭筋筋力,上体起こし,長座体前屈距離,片足立ち保持時間を評価し,性別に比較した。各身体機能を比較すると,背筋力,握力,大腿四頭筋筋力,上体起こしは女性よりも男性のほうが高い値を示した。一方,長座体前屈距離は男性よりも女性のほうが長かった。片足立ち保持時間には有意な群間差は認められなかった。これらの知見から,上下肢・体幹筋力と同様に,背筋力にも性差があることが示された。各種身体機能の性差の割合は,上体起こしや背筋力などの体幹筋力が上下肢筋力よりも性差が大きいことが示唆された。