2014 年 3 巻 4 号 p. 177-182
本研究の目的は,3軸加速度計を利用し得られた加速度信号から算出した動揺性,規則性を歩容指標として運動機能との関連,脊椎圧迫骨折患者の歩行の特徴を明らかにすることである。対象は健常高齢者19名(平均年齢67.8±4.9歳),脊椎圧迫骨折患者13名(平均年齢78.1±8.5歳)とした。第3腰椎棘突起部付近に3軸加速度計を装着し自由歩行した。1歩行周期のデータから歩容指標を算出して,他の運動機能との関係,脊椎圧迫骨折患者群の歩行の特徴を検討した。脊椎圧迫骨折患者群の動揺性と有意な相関を示した運動機能は閉眼片足立ちであった。脊椎圧迫骨折患者群の規則性と有意な相関を示した運動機能はなかった。脊椎圧迫骨折患者群は健常高齢者群よりも運動機能のすべての項目で有意に低値であり,垂直方向の動揺性において有意に高値であった。片足立ち時間が延長するにつれ,前後方向の動揺性は増大し,脊椎圧迫骨折患者群は運動機能の低下と垂直方向の動揺性が大きいことが示唆された。