2018 年 8 巻 1 号 p. 35-38
本研究では要支援者(31名)と軽度要介護者(18名)の身体機能および精神・認知機能を比較した。身体機能評価は,握力,30秒間椅子立ち上がりテスト,開眼片脚立位時間,歩行速度を測定した。認知機能の評価には,mini-mental state examination とtrail making test- part A を実施し,精神機能の評価には抑うつ尺度(5-item geriatric depression scale)を用いた。その結果,身体機能と精神機能の評価項目においては,要支援者と軽度要介護者では有意差は認められなかった。しかし認知機能に関しては,要支援者の方が軽度要介護者より有意に良好な結果を示した。両群ともに転倒リスクの高い高齢者であることから虚弱高齢者においては転倒予防と認知機能の維持に努めることによって,介護状態の重度化を予防できる可能性があると考える。