ヘルスプロモーション理学療法研究
Online ISSN : 2187-3305
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8 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
  • 杉田 洋介, 伊藤 克彦
    2018 年 8 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2018/04/30
    公開日: 2018/08/12
    ジャーナル フリー

    【目的】超音波による大腿部骨格筋評価と転倒経験との関連性を明らかにすることである。【方法】152名の地域在住高齢者を対象とした横断研究である。年齢,性別,BMI,運動機能,二重課題,注意機能,大腿部筋厚と筋輝度,等尺性膝伸展筋力を評価した。過去1年間の転倒の有無を調査して,二項ロジスティック回帰分析で転倒関連因子を抽出した。【結果】開眼片脚立ち時間(オッズ比3.01)とDual Task Timed Up and Go Test(オッズ比3.38)が転倒関連因子として抽出された。【結論】超音波で評価した大腿部骨格筋の量的,質的指標は転倒経験に対しては独立した影響要因ではなかった。今回の結果からは,自立歩行にて生活している地域在住高齢者においては,立位姿勢保持能力や二重課題遂行機能が転倒経験に影響する要因である可能性が示唆された。

短報
  • 安彦 鉄平, 村田 伸, 中野 英樹, 坂本 昌志, 幸田 仁志
    2018 年 8 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2018/04/30
    公開日: 2018/08/12
    ジャーナル フリー

    本研究は,Functional Reach Test(FRT)の併存的妥当性を検討するため,FRT の実測値と重心動揺測定器での計測値との関連性を検討した。対象者は健常成人女性33名とし,FRT の実測値,FRT 実施中の足圧中心の前方移動距離,最大リーチ位での総軌跡長および矩形面積,前方移動距離の次乗に対する最大リーチ位での矩形面積の比(PSI)を測定した。各測定値間の関連性を検討するため,pearson の積率相関係数を求めた。その結果,FRT の実測値と足圧中心の前方移動距離との関連性は限定的であることが推測された。さらに,FRT の実測値とPSI との関連性が認められなかったことから,FRT の実測値によってバランス能力を評価することは不十分であることが示された。

  • -足関節固定ベルト使用の有無による検討-
    相馬 正之, 村田 伸, 太田尾 浩, 甲斐 義浩, 中江 秀幸, 佐藤 洋介, 村田 潤
    2018 年 8 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2018/04/30
    公開日: 2018/08/12
    ジャーナル フリー

    〔目的〕本研究では,足関節固定ベルト使用の有無別における足趾把持力と足趾圧迫力を比較し,さらに身体機能との関連を検討した。〔対象・方法〕健常成人女性18名を対象とした。測定項目は,足関節固定ベルト使用の有無別における足趾把持力および足趾圧迫力と歩行機能やバランス機能を評価した。〔結果〕二元配置分散分析の結果,足趾把持力の方が足趾圧迫力より高値を示し,足関節固定ベルトを使用することで,より筋力を強く発揮できることが示された。また,身体機能との関連を示す項目は,足趾把持力と足趾圧迫力では異なった。〔結語〕これらの知見から,足趾把持力は足趾圧迫力より筋力を発揮しやすく,足関節固定ベルトを使用することで筋力をより強く発揮できることが示唆された。また,身体機能との関連では,足趾把持力と足趾圧迫力で反映する身体機能が異なることが示された。

  • 村田 伸, 甲斐 義浩, 安彦 鉄平, 中野 英樹, 松尾 大, 川口 道生, 松本 武士, 吉浦 勇次, 角 典洋
    2018 年 8 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 2018/04/30
    公開日: 2018/08/12
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,変形性膝関節症患者20名(全て女性:64.0±7.0歳)を対象に,通常歩行と最速歩行時の歩行パラメータを比較し,歩行の特徴を明らかにすることである。その結果,最速歩行時には有意(p<0.01)に速度が速まるが,その他ストライド長と歩幅は有意(p<0.01)に広がり,足角と歩行角は有意(p<0.05)に狭まった。また,立脚時間と両脚支持時間が有意(p<0.01)に短縮した。ただし,歩行速度を高めるためのパラメータの効果量を算出すると,ストライド長と歩幅は中等度(ともにΔ=0.69)であったが,立脚時間と両脚支持時間の短縮の効果(Δ=-1.62と-1.14)は大きかった。これらのことから,変形性膝関節症患者はストライド長や歩幅を広げるよりも,立脚時間や両脚支持時間を短縮させて,速く歩こうとすることが示唆された。

  • 岡村 和典, 江川 晃平, 岡本 ひかる, 沖井 明, 金井 秀作
    2018 年 8 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2018/04/30
    公開日: 2018/08/12
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は,介護予防通所リハビリテーションでの運動介入による歩行能力の経時変化について確認することである。【対象と方法】当法人の介護予防通所リハビリテーションを6ヵ月間以上連続して利用した18名を対象とし,10m 歩行時間およびTimed up and go test の結果について,6ヵ月間の運動介入に伴う経時変化を後方視的に分析した。【結果】10m 歩行時間は介入前に比べ,介入1ヵ月後では有意に速くなっていた。Timed up and go test は介入前および介入1ヵ月後に比べ,介入2ヵ月後では有意に速くなっていた。いずれの項目についても,介入2ヵ月後以降の変化には統計学的な有意差を確認することができなかった。【結語】本研究の結果から,介護予防通所リハビリテーションでの運動介入は,2ヵ月間で10m 歩行時間とTUG を指標とした歩行能力を向上させる可能性が示唆された。

  • 末廣 忠延, 石田 弘, 小原 謙一, 藤田 大介, 大坂 裕, 渡邉 進
    2018 年 8 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 2018/04/30
    公開日: 2018/08/12
    ジャーナル フリー

    【目的】目的は健常者と慢性腰痛者における腹臥位での股関節伸展運動時の筋活動量を比較することである。【対象】対象は健常成人20名と慢性腰痛者20名とした。【方法】筋活動の測定は表面筋電計を使用し,被験筋は対側の広背筋,両側の脊柱起立筋,多裂筋,同側の大殿筋,ハムストリングスとした。被験者は腹臥位となり膝を伸展位で股関節を伸展10°に保持した際の筋活動量を測定した。群間の筋活動量の比較にはMann-Whitney のU 検定を使用した。【結果】大殿筋の活動は,健常者に比較して慢性腰痛者で有意に高値を示した。他の筋については有意差を認めなかった。【考察】慢性腰痛者は股関節伸展時に健常者よりも高い大殿筋の活動を示すことが明らかとなった。この原因としては,大殿筋の筋力低下や股関節伸展側の骨盤の水平面上での腹側への回旋が生じた状態で股関節を伸展したことが要因として考えられた。

  • -要支援高齢者と軽度要介護高齢者の比較-
    白岩 加代子, 岩瀬 弘明, 中野 英樹, 村田 伸
    2018 年 8 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 2018/04/30
    公開日: 2018/08/12
    ジャーナル フリー

    本研究では要支援者(31名)と軽度要介護者(18名)の身体機能および精神・認知機能を比較した。身体機能評価は,握力,30秒間椅子立ち上がりテスト,開眼片脚立位時間,歩行速度を測定した。認知機能の評価には,mini-mental state examination とtrail making test- part A を実施し,精神機能の評価には抑うつ尺度(5-item geriatric depression scale)を用いた。その結果,身体機能と精神機能の評価項目においては,要支援者と軽度要介護者では有意差は認められなかった。しかし認知機能に関しては,要支援者の方が軽度要介護者より有意に良好な結果を示した。両群ともに転倒リスクの高い高齢者であることから虚弱高齢者においては転倒予防と認知機能の維持に努めることによって,介護状態の重度化を予防できる可能性があると考える。

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