2019 年 8 巻 4 号 p. 153-162
[目的]本研究は,地域在住高齢者における運動実践と抑うつとの関連性を世帯構成と運動仲間の有無に着目し検討した。[対象]要介護認定を受けていない地域在住高齢者8,870名とした。[方法]世帯構成,定期的な運動実践および運動仲間の有無(独りで実践,他者と実践),基本チェックリストの「うつ予防・支援」に関する項目で抑うつ傾向の有無を調査・評価した。[結果]運動をしていない独居高齢者と比べ,運動を独りでのみ実践している独居高齢者と他者と実践している独居高齢者は抑うつ傾向を有する可能性が有意に低かった。一方,独りでのみ運動している独居高齢者と他者と運動している独居高齢者の間に有意差は認めなかった。[結語]運動仲間の有無に関わらず,独居高齢者の運動実践は良好な心理的健康と関連したことから,独居高齢者が運動に取り組みやすい環境を整える必要がある。