ヘルスプロモーション理学療法研究
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原著
寝たきり男性誤嚥性肺炎患者における起き上がり動作の自立度別にみた体幹筋の差異
―CT 画像を用いた量的・質的評価―
藤本 貴大田中 繁治
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2019 年 8 巻 4 号 p. 163-168

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抄録

寝たきり高齢患者の起き上がり動作自立度からみた体幹筋の量的・質的な違いを明らかにすることを目的とした。対象は,1年以上寝たきりで誤嚥性肺炎により入院した65 歳以上の男性とした。起き上がり動作自立度の分類から部分介助群と全介助群の2群を設 定した。体幹筋のCT 画像から,腹直筋,腹斜筋群(内・外腹斜筋,腹横筋),腰方形筋,多裂筋,脊柱起立筋,大腰筋の筋横断面積(以下,CSA)と,CSA に占める筋と脂肪の CT 値により算出した面積の割合を%FCSA と%IMF とし各群間で比較した。その結果, 部分介助群に比べ全介助群は,CSA で脊柱起立筋のみ有意に低値を示した。%FCSA は,腹斜筋群,腰方形筋,多裂筋,脊柱起立筋で有意に低かった。また,%IMF は,腹直筋を除くすべての筋で有意に高かった。これらのことから,部分介助群と比較し全介助群の体幹筋の質的差異は,起き上がり動作自立度に関係している可能性が示された。

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© 2019 日本ヘルスプロモーション理学療法学会
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