ササユリの未熟種子培養において,MS培地中へのリン酸添加の効果について調べた.
1.培地中へのリン酸添加によって種子の発芽率が高まった.水酸化ナトリウム(NaOH)や次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)への浸漬処理では発芽率は高まるが,発芽個体当たりの球形成率は低下する傾向にあった.しかし,リン酸添加培地では発芽個体当たりの球形成率も高まった.
2.培養中の小球の肥大は明条件でリン酸濃度が2.5mMの時に最も良かった.
3.鉢上げ後の出芽率はリン酸濃度が3.75mMで高かった.また,明条件で培養した小球は暗条件のものより出芽率が高い傾向にあったが,暗条件で培養を行っても培地中のリン酸濃度を3.75mMとすれば明条件のものとほぼ同等の高い出芽率となった.
4.鉢上げ後の球の肥大は暗条件で培養した球で促進される傾向にあり,かつ培養中のリン酸濃度が3.75mMで最も促進された.