ピートモスとRW細粒綿を3:1に混合した培地を用いてイチゴ‘女峰’の養分吸収と生育,収量に及ぼす培養液組成の影響について検討した.CO2施用条件下ではNに対するP,Kの吸収比率が高まることから,標準培養液(N: 8.85,P: 0.85,K: 3.90,Ca: 2.05,Mg: 0.93 mM)にKH2PO4を添加したところ,P,Kの吸収量が増加し,葉身中P濃度は高くなった.しかし,K濃度にはほとんど変化がなかった.微量要素および標準培養液の約50%のCaとMgを含む複合液肥(N: 8.83,P: 0.94,K: 3.04,Ca: 0.89,Mg: 0.44 mM)では,CaとMgのみかけの吸収量はそれぞれ標準培養液の約50%となった.しかし,葉身中濃度には差が認められず,欠乏症状の発生もみられなかった.いずれの培養液を施用した場合でも生育,収量はほぼ同等であったことから,緩衝能の高いピートモスを主体とする培地でイチゴを栽培する場合には,必ずしも吸収に見合った組成の培養液を施用する必要はなく,簡便な処方の複合液肥が利用可能と考えられた.