抄録
根域温度を調節できる底面給水法,いわゆる根域環境制御システムの開発を目指し,根域環境制御システム用の水供給装置として,鉢底に排水孔の無い多孔質鉢の利用と機能について,パンジーを用いて従来法と比較栽培試験を行った.また,多孔質鉢内部への水分供給速度に及ぼす土壌の種類と水深の影響について検討した.多孔質鉢は,水を入れたプラスチック容器内に設置した.その結果,多孔質鉢栽培では従来の頭上灌水やマット給水に比べて生育が促進され,多孔質鉢は根域環境制御システムの水供給装置として利用できると判断された.また,多孔質鉢内部への水供給速度は土壌と水深によって大きく異なり,水深を調節することにより鉢内の土壌水分率を調節することが可能であった.